【福山・尾道・東広島】医師のワークライフバランスは開業で守れる?地域で長く続けるための準備 - 【広島】地域密着の医院クリニック建築専門店|ドクター建築ラボ@BINGO
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2026.10.20
【福山・尾道・東広島】医師のワークライフバランスは開業で守れる?地域で長く続けるための準備

広島県福山市・府中市・尾道市・三原市・東広島市でクリニックの開業や建て替えを考えている先生へ。地域の医療を長く担いながら、ご自身の生活も大切にするための考え方を、公的な調査データと備後エリアでの建築の経験から紹介します。

開業はゴールではなく、10年、20年と続いていく仕事の始まりです。無理を重ねて体調を崩してしまえば、通ってくださる患者さんも困ってしまいます。

私たち道下工務店は、1956年に府中市で創業して以来、備後エリアで建築に携わり、自社の大工による施工で医院・クリニックの建築も手がけてきました。開業のご相談では、理想の医療とあわせて「地域で長く、無理なく続けたい」というお話を伺うこともあります。

この記事の結論

  • 長く診療を続けるには、最初から「無理なく続けられる働き方」を前提に計画することが大切です。
  • 勤務医の長時間労働は働き方改革で減り、週60時間以上働く病院の常勤勤務医は令和7年に15.0%となりました。開業医にはこの上限がないため、働く時間は院長自身が管理します。
  • 日本医師会の調査では、開業後に労働時間が軽くなった院長(35.6%)より、重くなった院長(41.6%)のほうが多く、開業前の準備の差が表れています。

医師の働き方改革とは?開業医との関係

医師の働き方改革とは、2024年4月から、勤務医の時間外・休日労働に上限を設けた制度です。原則となるA水準の上限は年960時間で、月平均にすると80時間の時間外労働にあたります。勤務と勤務の間に休む時間を確保する「勤務間インターバル」や、月100時間以上の時間外労働が見込まれる医師への面接指導も始まりました。

この制度で守られるのは、雇われて働く医師です。開業医(院長)には上限がない分、自分で働く時間に歯止めをかける必要があります。

出典:厚生労働省「医師の働き方改革」特設サイト

診療科別に見る勤務医の長時間労働

令和7年の調査では、週60時間以上働く病院の常勤勤務医は15.0%でした。令和4年の21.2%から、さらに減っています。診療科ごとに見ると、次のような差があります。

診療科 週60時間以上働く医師の割合(令和7年)
皮膚科 5.3%
眼科 7.7%
精神科 8.1%
内科 13.6%
小児科 16.0%
救急科 23.7%
外科 25.1%

皮膚科・眼科・精神科は1割未満にとどまる一方、救急科や外科では4人に1人ほどが週60時間以上働いています。夜間の急な対応が多い診療科ほど、長時間労働になりやすい傾向が見てとれます。いずれも病院で働く医師のデータです。

出典:厚生労働省「(参考資料)医師の働き方改革の現状について」令和8年度 医師の働き方改革の推進等に関する検討会(2026年9月10日)※令和7年度「医師の勤務実態把握のための調査事業」

福山・尾道・東広島の医師数・診療所数から見る開業の環境

項目 広島県 全国
医療施設で働く医師(人口10万人あたり・2024年) 279.5人(47都道府県中20位) 267.4人
うち福山市 222.3人 ―
一般診療所の数(2025年) 2,500施設 105,521施設
一般診療所の5年間の増減(2020→2025年) 33施設減(−1.3%) 2,909施設増(+2.8%)

広島県全体の医師数は全国をやや上回りますが、福山市では人口10万人あたり222.3人と、広島市(325.3人)より大幅に少なくなっています。また、全国では診療所が増えているのに対し、広島県ではこの5年で33施設減りました。

診療所が減っている地域では、新たに開業したクリニックが地域で頼られる存在になりやすい半面、休診日や診療時間の設定が地域の受診のしやすさに直結します。開業前に周辺の医院の診療時間・休診日を調べ、自院が無理なく続けられる時間で地域の医療を支える計画を立てることが大切です。

出典:厚生労働省「令和6年 医師・歯科医師・薬剤師統計」

出典:厚生労働省「令和7年 医療施設(動態)調査」

出典:厚生労働省「令和2年 医療施設(動態)調査」

開業すると働き方はどう変わる?

日本医師会が2009年に開業医1,984人へ行ったアンケートでは、開業前と比べて労働時間が「かなり軽減」した院長が16.8%、「かなり過重」になった院長が20.4%でした。「やや」を含めると、軽くなった院長は35.6%、重くなった院長は41.6%です。

負担の中身も変わります。勤務医時代のほうが大変だったこととして最も多かったのは当直(44.5%)でした。開業後に増えた負担では、スタッフの採用(65.1%)と、レセプトの作成・確認(52.2%)が上位に入っています。夜間の拘束から解放される代わりに、経営者としての仕事が加わるわけです。

また、無床診療所の院長の診療日数は週平均4.95日でした。休診日や長期の休みを自分で決められる一方、休めばその日の収入はなくなります。(関連コラム:医師が独立を決断する5つの理由と開業を阻む3つの壁)

出典:日本医師会「開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査」2009年9月

在宅医療や医師会の当番も見込んでおく

外来中心のクリニックなら、夜間や休日の呼び出しは原則としてありません。ただ、訪問診療を行う場合は24時間の連絡体制が必要になり、地域の医師会の休日当番を担当することもあります。こうした役割も見込んだうえで働き方を考えておくと安心です。

地域で長く続けるための5つの備え

立地:無理のない診療時間で成り立つ場所を選ぶ

福山・府中・尾道・三原・東広島のエリアは広域にわたり、福山や東広島のような都市部と、尾道・三原・府中のような落ち着いた地域とで、医療ニーズも患者さんの動き方も異なります。車が生活の足となる地域のため、駐車場の台数や幹線道路からの入りやすさも患者数を左右します。道下工務店では、土地探しの段階から診療圏調査を行い、「この場所なら希望の診療時間でも採算が合うか」を確認したうえで計画を進めます。

人:スタッフが辞めない職場にする

開業後の負担で最も多かったのが、スタッフの採用でした。採用をくり返さずに済むよう、スタッフ専用の通路や休憩室、更衣室を確保し、毎日の働きやすさを高めておくことが、院長の時間を守ることにもつながります。(関連コラム:クリニック設計で押さえたい6つのポイント)

体制:代わりの医師を迎えられる診察室

長く続けるほど、院長自身の体調や家族の事情で休みが必要になる場面は増えます。2つ目の診察室を用意しておけば、非常勤の医師に診療を任せたり、将来の後継者を迎えたりしやすくなります。

住まい:通勤の負担を減らす

エリアが広いからこそ、自宅から無理なく通える場所を選ぶことが毎日のゆとりにつながります。クリニックと住まいを一つにする「医院併用住宅」にすれば、通勤時間そのものをなくすこともできます。その場合は、クリニックと住まいの玄関や動線を分け、仕事と生活を切り替えられる間取りにしましょう。スタッフの多くも車で通勤するため、スタッフ用の駐車場もあわせて計画しておくと安心です。

建て替え:休診期間を短くする

建て替えの間に長く休診すると、収入が途絶えるだけでなく、患者さんが他の医院へ移ってしまうこともあります。工事の進め方や仮の診療スペースも含めて、早めに計画しておきましょう。(関連コラム:クリニック開業のリアルな費用感)(関連コラム:クリニック開業の失敗リスクと回避方法)

道下工務店が手がけた医院の院長の声

やすはらこどもクリニック:駐車場を広く取れる場所を選んだ

安原院長は、勤務していた病院の建て替えをきっかけに開業を決めました。場所を選んだいちばんの理由は「駐車場を多め(広め)に取りたかった」ことと、以前の勤務先の患者さんが通いやすいことだったそうです。院内感染を防ぐため、待合を個室にしてそのまま個室で診察できる造りにしています。(院長インタビュー(やすはらこどもクリニック))

スタッフが長く働ける環境を最初から意識

同院長は、知り合いの先生から「開業したらスタッフに継続して勤めてもらうことが大切」と聞き、スタッフが楽しく仕事ができる環境づくりを意識しているそうです。スタッフが定着すれば、採用や教育にかかる院長の手間が減り、診療に集中できる時間が増えます。(院長インタビュー(やすはらこどもクリニック))

道下工務店は自社の大工が在籍しており、診療を続けながらの建て替えにも対応しています。休診期間を短くできれば、建て替えの間も収入と患者さんとの関係を保ちやすくなります。

よくある質問

Q. 勤務医と開業医では、どちらがワークライフバランスを保ちやすいですか?

A. 夜間の当直がなくなり、働く時間を自分で決められる点では、開業医のほうが設計しやすいといえます。ただし日本医師会の調査では、開業後に労働時間が重くなった院長も約4割いました。事業計画と建物の準備がそろってはじめて、ゆとりが生まれます。

Q. 開業医にも働き方改革の上限規制はありますか?

A. 院長自身には直接の上限はありません。クリニックで勤務医を雇う場合は、その医師に上限規制が適用されます。

Q. 診療を続けながらクリニックを建て替えられますか?

A. 道下工務店は自社の大工が在籍しており、診療を続けながらの建て替えにも対応しています。休診期間をどこまで短くできるかは敷地の条件によって変わるため、早めにご相談ください。

Q. 福山・尾道・東広島などでワークライフバランスを重視してクリニックを開業するには?

A. 福山市は広島市に比べて人口あたりの医師が少なく、県内の診療所も減っています。地域で頼られやすい分、無理なく続けられる診療時間・休診日を開業前に決めておくことが大切です。そのうえで、十分な駐車場、自宅からの通勤時間、スタッフ専用の動線や院長室・休憩室など、毎日の働きやすさにつながる設計を組み合わせます。

まとめ

  • 働き方改革で勤務医の長時間労働は減りましたが、開業医には上限がないため、働く時間は自分で管理する必要があります。
  • 開業後は当直の負担が軽くなる一方、採用やレセプトなど経営の仕事が増えます(日本医師会、2009年)。
  • 地域で長く続けるには、立地、スタッフが定着する職場、代わりの医師を迎えられる診察室、住まいとの距離をあわせて計画することが大切です。

道下工務店では、福山・府中・尾道・三原・東広島エリアで、働き方にゆとりのあるクリニック開業を検討している先生のご相談を承っています。

  • 「地域で長く診療を続けられるクリニックにしたい」
  • 「今の医院を、診療を続けながら建て替えたい」
  • 「スタッフが長く働ける建物にしたい」

こうしたご相談は、計画の初期段階からお受けしています。

この記事について

執筆:ドクター建築ラボ@BINGO(道下工務店)。1956年(昭和31年)府中市で創業、自社の大工が在籍。

監修:株式会社道下工務店 代表取締役 道下幸治(一級建築士)

主な参考資料:厚生労働省「医師の働き方改革の現状について」(2026年9月)、厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計」(令和2年・令和6年)、厚生労働省「医療施設(動態)調査」(令和2年・令和7年)、日本医師会「開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査」(2009年)

お問い合わせ・会社情報

道下工務店株式会社
福山・府中・尾道・三原・東広島エリアの医療建築のスペシャリスト。先生の夢に寄り添い、経営を支える建物をご提案します。
本社所在地:〒721-0973 広島県福山市南蔵王町1-2-25
電話番号:084-926-2820
事業内容:一般注文住宅の設計・施工・リフォーム工事や店舗・事務所・工場・倉庫の設計・施工、医療・介護・福祉施設等の企画・設計・施工や賃貸マンションの企画・設計・施工
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